会津薬師タマネギ

野菜の処方箋

健康診断に基づく処方箋の作成

昔から、農業の指導機関では土壌分析を勧めてきたし、実施している農家も多いことと思いますが、分析データの数値を解析する技術がないと、最適な肥料の設計ができない。分析データの各項目には基準値より「多い、少ない」と、一言コメントが書かれている。これだけでもまあまあの土壌管理は可能でしょうが、トラブルが無くなるわけではない。

土壌分析をしている人は、農家から送られてきた土を見て、調べるだけで、そこに育つ作物を見ることはしない。我々農業者は、毎日作物や土を見て、触れて、畑全体の雰囲気などから多くの情報を収集しています。この情報と分析データの情報から今を読み取り、土・微生物・作物の健全な生長のための処方箋を作ることが、農業者としての使命だと思っています。

処方箋ができれば、これに基づいた施肥設計を立て、肥料を選び、畑の環境整備をする事で、たいていの作物はすくすくと育ってくれる。そして滋養豊かに育った作物は食べる人を健康にするのは当たり前のことでしょう。

施肥設計に必要な肥料のブレンド技術を確立

高校卒業後、後継者として父の農業を手伝っていた頃は、肥料は単肥と言って単一成分(窒素肥料・リン酸肥料・カリ肥料)の物しかなかったように記憶しています。それらを作物ごとに成分計算をして配合した、いわばオリジナル肥料を小屋の中で父と一緒にスコップで混ぜて、田んぼの肥料とか野菜畑の肥料という風に作っていました。

その後、時代とともに単肥を2種類以上混ぜ合わせた複合肥料が肥料メーカーから次々と出されるようになり、今では葉菜類専用とか果菜類専用とか、稲に至ってはコシヒカリ専用・ひとめぼれ専用といった品種ごとの複合肥料が一般的に使用されています。

この専用肥料は作物や品種の特性には配慮しているかもしれないが、田畑の土の良し悪しは無視しているように思います。私はこのことをこう皮肉っています、「人間に例えたら子供用・成人用・高齢者用・病人用とそれぞれの状況に合わせた食事が必要なのに、日本人専用・○○人専用・△△人専用といった食事でホントにいいのか」・・・と。

話がそれてしまいましたが、弊社農場で使用する肥料は、有機質肥料や化学肥料や各種のミネラル肥料を処方箋をもとに独自のブレンド技術で配合しています。その礎になったのが、以前品種改良に必要なバイテク技術の導入で身につけた経験と知識です。

0.2~0.3mmの植物生長点や未熟胚を培養するための培地に、各種の肥料成分や植物ホルモンを調合して寒天培地を作る際、pH(ペーハー)が一定範囲にないと寒天が固まらなかったり、ミネラル成分を培地に溶かすためのキレート化が必要だったりといった経験をして、肥料を元素(量子)として捉えることができるようになったこと。そして、品種改良の交配という遺伝を学ぶ中で、DNA(染色体)の不思議を学んだことも今に繋がっています。